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  1. 長野県議会 2022-06-28
    令和 4年 6月定例会農政林務委員会−06月28日-01号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年 6月定例会農政林務委員会−06月28日-01号令和 4年 6月定例会農政林務委員会 農政林務委員会会議録(その3) ●招集年月日時刻及び場所    令和4年6月28日(火)午前10時30分、議事堂第4委員会室に招集した。 ●出席した委員の氏名     委  員  長         小 山 仁 志     副 委 員 長         宮 下 克 彦     委     員         佐々木 祥 二        同            鈴 木   清        同            依 田 明 善        同            小 林 あ や        同            池 田   清        同            中 川 博 司        同            毛 利 栄 子 ●欠席した委員の氏名     な し ●説明のため出席した者の氏名   (農 政 部)
        農政部長            小 林 安 男     農政部次長           田 中 達 也     農業政策課長          塩 川 ひろ恵     農業技術課長          小 林 茂 樹     園芸畜産課長          吉 田 新 一     農地整備課長          平 林 孝 保     農村振興課長          荒 井 一 哉     農産物マーケティング室長    村 山 一 善     家畜防疫対策室長        青 沼 健 治 ●付託事件    6月27日に同じ ●会議に付した事件    6月27日に同じ ●開議時刻 午前10時30分 ●小山委員長 開会を宣した。  ▲ 日程宣告     農政部関係の審査  ▲ 議題宣告     付託事件及び所管事務一般を一括して議題とし、委員の質疑等発言を許可した。 ◆依田明善 委員 おはようございます。それでは、何点か質問させていただきます。  とにかく物価の高騰ということで、大変な騒ぎになっておりますが、家畜の飼料についても、農家の皆さんから何とかしてくれと非常に電話がかかってきます。それから、南牧村は3,000頭近い牛が飼われており、特に野辺山高原の辺りに酪農家が多くいらっしゃいます。とにかく現場も見てくれということで、私も何回か行きました。そして、配合飼料や牧草、牛の状態等も実際に見させていただいたのですけれども、これらのほとんど全部が輸入だそうです。配合飼料はトウモロコシ等がいろいろと入っているのですけれども、全部ウクライナやロシアが関連しているため、とにかく高騰しているという話でした。肉牛と乳牛の場合は与える餌も違うということで、その辺りが経営の非常に難しいところなのですが、畜産業というのは、365日、生き物を相手にする点で大変な仕事なのだとつくづく感じました。  そして、牧草に関しては、農家の中には、もちろん畑を持っている方もおりますので、自分たちで種をまき、牧草を育て、それを牛に与えているところもありますが、相対的に見れば量も少なく、手間もかかり、どうしても自前だけではうまくいかないそうです。資料1では、原油価格・物価高騰に係る農業分野の状況が示されており、飼料の価格指数も示されておりますけれども、農業経費に占める割合が非常に増大しているということで、売渡価格の高騰も続いております。これは3月頃のデータでしょうか。今、直近はどのような形になっているのか、もし最新情報があれば教えてください。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 資料1の2の(5)の餌の飼料の関係でございますけれども、これが直近の数字でございます。畜産の場合はデータが確定するまでタイムラグが生じます。 ◆依田明善 委員 はい、分かりました。それで、配合飼料価格高騰緊急対策事業ですが、これは国庫補助金で約61億円の補助金がついておりますが、県内の、先ほどの野辺山高原も含め、畜産農家の経営の継続と安定を図るための事業効果をどこまで見積もっておられるのか、その辺りについて今後の見通しも含めてお伺いいたします。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 資料5の配合飼料価格高騰緊急対策事業のお尋ねでございます。先般も説明をさせていただきましたけれども、時間の都合上、より詳細に説明をさせていただきます。  4番の事業イメージを御覧いただけますでしょうか。そこに赤い横線がございます。これが今回、県独自で基準を設けた数字でございます。また、右側の端に価格高騰前(R1から2)という記載がありますが、これは県で独自に設けた基準でございます。それに対し、赤く囲ってある中に、波線の部分の棒グラフがありますが、その波線の下の部分が国の基準価格でございます。赤いブロックにも書いてありますが、国は直近1年の平均の飼料価格を基準としておりますが、長野県は、今回、過去2年間まで遡ったものを基準にしているため、国よりも手厚い基準価格になっております。  続いて、その赤いブロックの隣に棒グラフ4本ございますが、これは令和4年四半期ごとに分けられており、第1が4月から6月、次が7月から9、10から12、1から3という4本で示されております。  今後については、ウクライナ情勢等が見通せないことも踏まえ、過去1年間の餌の上昇率を計算しますと、四半期ごとに10%ずつ上がる見込みになります。令和4の第1四半期は大体4万7,000円くらいですが、最終的に、令和4の第4四半期には6万2,000円まで上がるのではないかと、県独自に推定いたしました。これは原料価格であり、農家の手に渡る場合はメーカーによって金額が変わるため、実際は大体1.7倍から2倍程度の価格になります。資料1にありましたけれども、今は令和4の第1四半期でございますので、8万円ほどになっております。こうした場合に、私どもが考えている補填といたしましては、波線の部分が国の補填金、ブルーの濃い部分が県独自の補填分であるため、双方合わせると、棒グラフの赤線から上の部分、いわゆる過去2年間の基準に対して、農家が負担する金額のおよそ50%をカバーできる計算になります。このような長野県独自の見積りをいたしまして、補正予算を組みました。  ほかの県についても調査いたしましたが、補填の水準を考えている県が二十数県ございました。ただ、そのうちの8割は、農家が国の補填金をもらうために支払う1トン当たり600円の負担金を立て替えるというものでした。あとの2割が、長野県のように、国の補填で足りない分を県が補填するというやり方を選んでおりまして、さらにその中でも、長野県の上限4,200円という金額は高い補填水準であります。ただ、今後10%ずつ高くなるであろうという見通しについて言えば、第1四半期現在、見込み通りとなっております。なので、あまりにも高騰が続けば、9月頃に再びこの基準を見直す措置も検討しているところです。以上です。 ◆依田明善 委員 はい、分かりました。長野県の場合は、大分手厚くやっていただいているということです。昨日、畜産農家の方とお話をしましたが、今の価格は大体1.9倍程度とおっしゃっていました。これがどの程度高騰するのか、見通しはつきませんが、何とかそのような形でしのいでいただければと思いますので、またひとつよろしくお願い申し上げます。  さて、工業製品の場合はサプライチェーンの見直しをするなど、昨日もそのようなお話がありましたが、飼料や肥料等、自分たちで使うものは自分たちでしっかりと確保していこうという世の中の流れが出ています。その中で、現場調査したときに、遊休農地や荒廃農地について話題になりました。川上村などはまだまだ農地が足りなくて大変な思いをしております。南牧村も、今、農地が非常に貴重なものになっておりますが、それ以外の場所では割と空いているところもあります。そのような場所を利用して、牧草やトウモロコシ等を作ることができたらという話も、茶飲み話の中でありました。ただ、これは、作るにしても採算ベースに乗らないと、作っても意味がありませんし、私たちの場合は中山間地なものですから、やはり畑の規模が小さいのです。段々畑も多いですし、そういった中で、牧草やトウモロコシの栽培といった効率的な農業が、どこまで効率よくできるのかということも、大きな課題になると思います。ロシアとウクライナの戦争がこれからまだまだ長期化すれば、食用のみならず、家畜の餌代もさらに高騰していきます。そこで、仮の計算として、原材料の仕入れや品質管理、収穫の運搬経費、人件費に加え、様々な支援も加味したとして、国産の飼料を生産することが経営的に可能なのか、ある程度想定できると思うのですが、損益分岐点のようなものがあれば、お示しいただきたいです。それにプラスして、そのような営農が採算的に難しいとなれば、何が課題なのか、打開策はあるのか、その辺りについてもお示しいただきたいと思います。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 委員指摘のとおり、日本の畜産は輸入飼料に依存し過ぎているという状況ですので、社会情勢が変化してきますと、少しでも、輸入飼料に依存しにくいといいますか、完全な依存ではなく、自給飼料を作りつつ畜産経営を維持していかねばなりません。大変喫緊な課題であると私どもも捉えております。その中で、自給飼料をどのくらい生産すれば輸入飼料から置き換えられるかという問いだと思われますが、先ほどの委員のお言葉にもありましたけれども、農地の確保が大変難しくなっていることは事実でございます。仮に農地が確保できた場合、デスク上の計算でいけば、酪農なのですが、最高で4割が自給飼料にできるだろうと試算してございます。ただ、その中で、このシミュレーションは大体40頭クラスを家族3人で経営している酪農家の場合で、なおかつ、その3人がフルに働いて、牧草が5ヘクタール、青刈りトウモロコシが5ヘクタール、トータル10ヘクタールあった場合の試算でございます。そうしますと、損益分岐点というお話もありましたが、大体1頭当たり80万の経費になります。今、海外の輸入飼料を使っていますけれども、そうすると、1頭当たり100万円になりますので、その分、自給飼料にすれば損益分岐点の価格も少し下がり、経営的に体質が強化されるというシミュレーションもございます。  ただ、それだけの農地がございません。それから、労働力もずっと確保しなければなりません。なので、今後の方向性としましては、県下各地に大体15グループほどございますが、コントラクター方式ということで、畜産農家の方たちにグループをつくっていただき、全員で牧草や青刈りトウモロコシを作り、おのおので使うという方法があげられます。そして、もう一つは、耕畜連携、いわゆる水田農家の方に飼料米、それからWCS、稲ホールクロップサイレージというものですけれども、空いている水田にそれらを造っていただき、餌作りを分業化していく政策を取りつつ、輸入飼料に依存し過ぎない畜産経営を目指していかねばならないと考えているところです。 ◆依田明善 委員 そうですよね。本当に真剣にこの事業に取り組んでいかねばならないと思います。牛の餌でさえ、これほど困窮するとは今まで想定できませんでしたが、これからはそのようなことも全て想定し、自前でそろえていくことが、行政の方向性として非常に大事ではないかと思っておりますので、あらゆる可能性を探りながらお願いしたいと思います。そして、中山間地の段々畑は、耕作するにも非常に非効率のところもありますが、これだけ機械化やロボットの発達が進みつつあるので、飼料の栽培をしっかりと確保し、それを効率よく、なるべく経費をかけないで行う方法についても実際に取り組む必要があるのではないでしょうか。さもないと、中山間地の小さな村は、なかなか出番がありません。そういった畑も十分に活用できれば、また大きな未来が開けてくるのではないかと思いますので、ぜひ力を入れるよう、よろしくお願い申し上げます。  また、先ほども言いましたけれども、とにかく経済の安全保障というものが非常に大事です。国の令和3年度の補正予算の中に、畜産環境対策総合支援事業があります。予算額は18億4,000万ということで、あまり大した金額ではありませんが、これは要するに、家畜の排せつ物を高品質のペレットにして、それを畑の肥料にするというものであります。家畜の肥料や堆肥は、非常に深刻な問題です。先ほどの野辺山高原もそうですけれども、課題が多く、10年ほど前になりますが、平成24年の3月に、私も一般質問をいたしました。このときに、堆肥の製造施設の支援をお願いした経過があります。これは、野菜農家と畜産農家が連携して堆肥を生産するということで、酪農家サテライト方式を提案させていただいたのです。ただ、時代的な背景として、このときの手法は、まだまだ非常に原始的なものでした。堆肥を天日で乾かして、それを要するに攪拌する、いろいろなものを混ぜ合わせるといった方法になりますが、尿の処理はどうにもならないことがありました。しかしながら、新しい畜産環境対策総合支援事業を読んでみますと、太陽光で短期的に堆肥を乾燥させる堆肥舎だとか、非常に性能のいい自動撹拌機だとか、高速でペレット肥料を成型するマシンだとか、こういったものが開発されて非常に普及していることが分かりました。それから、先ほど言った、牛から出る大量の尿については、本当に処理方法がなくて、長年、頭を痛めていたわけですけれども、これについても、フィルターの表面に定着した微生物の働きによって、独特で強烈な臭いを効率的に脱臭する装置や、既存の浄化槽に後づけで取り付けができる、尿から有機物を効率的に分離する装置等も記載されていたわけであります。10年もたつと、これだけ世の中が進むのかと驚きました。環境に配慮した循環型農業を推進していく上で、非常に明るい未来が望めるのではと思ったわけであります。ただ、この事業やこういった技術をどのようにして県内の畜産業の中に普及させていくのか、そこが問題だと思うわけですけれども、この点について具体的な戦略や課題をお伺いしたいと思います。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 畜産経営を続ける上で、まさに環境問題が大変大きな問題になっております。最近、畜産の環境の中でクレームが一番多いのが悪臭でございます。規模拡大をするときにも、周辺住民の方たちとうまく連携していきませんと、規模の拡大がままならない状況になりますので、まさに委員御指摘の畜産環境対策総合支援事業については、本当に大変ありがたい事業だと感じております。今年、県内ではこの事業を使いまして、2軒の畜産農家堆肥処理施設を整備する予定でございます。養豚と鳥の1軒ずつです。たまたま、今、委員からの指摘がございましたが、上からふん尿を入れて、最後、下に堆肥となって出てくる縦型コンポストという方式が最近開発されまして、こちらを使った事業になります。これは自動攪拌もしますし、水分も調整して、完成後の堆肥が野菜農家や果樹農家に使える形で出てくるものでございます。今までの大規模な堆肥場ですと、入れてから出るまで4か月程度かかるかと考えておりますが、大体30日から40日で出てまいりますので、大変効率もいいのです。実は、畜産試験場でも新しく養豚関係の施設を造りましたが、そこにも入れてございます。こういった新しい機器というのは、導入したうえで効果を確かめる必要があります。様々な機械が出ているものですから、一番は効果があるか、二つ目は悪臭が本当にないか。カタログ上はいろいろ書いてありますが、実際はどうなのか、畜産農家も確かめないといけません。最後に、国で2分の1事業でございますけれども、採算性を確かめないといけません。今回は、これで三つの事例が入りますので、我々も検証しながら、いろいろな施設の機械の中で使えることになれば、広く事例を集めて、畜産農家の方にPRや紹介をしつつ広めていきたいと思っております。また、機器とは少し違うのですが、最近、JA佐久浅間さんで、堆肥をペレット化した飼料で、「望ちゃん」という商品名が出てまいりました。今、肥料の価格高騰も問題になっていますけれども、こういった新しい、家畜ふん尿を使って有機質のペレットを自前で作る動きも地域には出てきておりますので、そういったところについても、我々も情報を収集して普及につなげていきたいと思っております。 ◆依田明善 委員 新しい技術もどんどん出てきて、非常に将来が明るい予感もしておりますが、ぜひその辺りも、農家や農協の皆さんとタイアップして進めていただければと思います。今、実例の話が出ましたが、尿の関係は北海道の鹿追町でしょうか。ここが家畜のふん尿を堆肥センターに集めて、水素の生産を始めたということであります。もうこれを始めて1年ほどになるのでしょうか。そのほかにも、これらのふん尿から電気や熱を作り出す技術も実用化されているようですが、本県ではそのような取組の実例があるのでしょうか。また、今後こういった技術を積極的に推進していただければと思うのですが、御所見を伺います。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 鹿追町では、まず、ふん尿を使いメタンガスを発酵させ、さらにメタンから水素を生成するという新しい開発のものでございます。ちょうど先月でしょうか、NHKでたまたまそれをやっておりました。私もふん尿からメタンガスを発酵して作るということは知っていましたが、メタンから水素となると、ややハードルが高いものですから、そのような技術も開発されてきたのだなと思いましたが、長野県の中では、ふん尿を1か所に集めて、微生物を使ってメタン発酵させて、それを燃やして電気を作って売電するという、バイオマスタウン構想を、南牧村さんが持っていたりします。ただ、今、売電価格が大変変動していて、長期的に見ると、最終的に採算性がどうも取れなくなる可能性があるということで、計画を中止する市町村も全国でも見られているというお話です。長野県の中では、小さい酪農家なのですが、1軒だけ、自分用のガスを使うためにふん尿をためてメタン発酵して、御自分で給湯施設やお風呂に使っている事例もございます。メタンガスを発酵させて、それをどう売電するのか。こういったことを普及させるためには、ただ菌を燃やすだけならいいのですが、そういった出口が見えてきませんと、なかなか採算性で不便なところがございますので、もう少し機械の開発が必要ではないかと捉えているところです。 ◆依田明善 委員 牛のげっぷがCO2を排出しているということで、非常に問題にはなっているわけでありますけれども、そのふん尿が問題になりますと、非常に畜産農家の皆さんも肩身が狭くなってまいります。そうでなくても仕事的にもハードなので、やはりそのような農家が徐々に減少するおそれもあります。ですから、循環型の農業を進めていく中で、決して避けて通ることができない問題だと思いますので、ぜひその辺りは様々な方面で取り組んでいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。  最後の質問なのですが、資料8の食の地消地産の推進に向けた農産物の直売所への支援についてです。非常に売上げが伸びているということで、順調に推移しているようでありますけれども、これは環境や地域に配慮した農産物など、消費者ニーズに応じた農産物の取扱いの拡大等が必要であります。店に並んだ瞬間に全部売れてしまうという話も昨日ありましたけれども、産地直送の新鮮な野菜で、評判も非常にいいのですが、その中で、残留農薬の問題はどうなのかという懸念があります。もちろん、生産者の中には、私はこうして減農薬あるいは無農薬野菜を作りましたと、生産工程を明確に示して売っていらっしゃる方もいます。そういったものは非常に売行きも好調ですし、特に今、消費者の中には敏感にそういった言葉に反応する健康志向の人たちもおりますので、それはそれで非常に売れるということであります。  これが非常に大事なことでして、直売所だから農薬の管理はそれなりにすればいいなどと曖昧にしておきますと、直売所の商品の評価が徐々に下がってしまうおそれもあります。ですので、高原野菜の場合には、例えばこのような農薬は1週間前までに使用は中止してくれということを明確に書いて一般の農家に配っています。それを農家はきちんと守ってやっているということですよね。今は緩めているようですが、もし市場で、抜取り調査で誰々のところの野菜から基準を超える農薬が出たということになりますと、その産地が全部出荷停止になることもありましたよね。それで名指しされた農家の方が自殺してしまった事例もかつてはありましたが、大変気を遣います。農薬をまいても、隣の出荷間近のところに舞って行ってしまうのです。大丈夫かなと思うこともあります。生産者が、一般の市場へ出す場合は、非常に緊張感を持っているのですけれども、直売所に出す場合も、ある程度の基準を設けたほうがいいかなと思いますし、買う方も、意識の高い人たちが徐々に増えてきていますので、直売所の野菜も安心安全で、おいしい上に、新鮮で、しかもこういった基準をしっかり守られているというような保障があれば、非常にいいのではないかと思います。この辺りについては、みどりの食料システム戦略というものもありますよね。エシカル消費という概念も最近は出てきていますが、こういった生産をする中で、買う人たちが、自分の手元に来るまでにどれだけその商品が環境に配慮した商品なのかと気にしておりますので、非常に大事なことではないかと思います。質問なのですが、これから直売所で扱う農産物において、消費者が安心して購入できるだけの生産管理や、その裏づけ、ちょっとしたお墨つきのようなシステム等の必要性を感じているのですが、その辺りの御所見をお伺いできればと思います。 ◎村山一善 農産物マーケティング室長 農産物直売所で取り扱う農産物の生産管理の裏づけ等に関して御質問をいただきました。農産物直売所は、まさに顔が見える販売ということで、信頼関係に基づいて販売をしておりますが、そういった直売所においても、消費者に対するしっかりとした生産履歴等の説明は大変重要であると認識しております。今、委員のほうからも幾つかお話もいただきましたが、特に消費者の関心の高い農薬に関しまして、生産者による農薬使用履歴の説明は、安全性を担保する面からも必要であります。当然市場流通に限らず、直売所等においても、履歴の整備は生産・販売の基本でありますので、直売所の運営や継続に必須の事項になっていると考えております。このため、農薬の使用については、これまで県といたしまして、農業農村支援センターがJA等とも連携する中で、研修会や講習会を通じて指導を行っておりますし、大半の直売所については、生産者が直売所に農産物を出荷する際に、あらかじめ農産物の栽培履歴の提出を義務づけていると認識してございます。実例としましては、直売所が定める栽培履歴に記帳して、自分が販売する3日前に提出をし、それを直売所の担当者が確認して、オーケーが出てから販売する、あるいは、実際販売の際に使用した履歴を表示して販売している事例もございます。ただ、当然履歴を確認する時間等手間がかかりますので、その点が非常に課題になっているお話も伺いました。まさに生産者と直売所の運営者双方にとって、特に大きな直売所にとっては、そういった負担が軽減できるシステムの導入も必要になるのではないかと感じております。このほか、生産管理の裏づけとなりますエコファーマーや、信州の環境にやさしい農産物認証を取得して、消費者に安全安心を伝えていく事例もございまして、これに関しましても、認定取得に向けて農業支援センターが支援をしているところもございます。  今後、お話のございました、みどりの食料システム戦略の推進においては、有機をはじめとする環境に優しい農産物などの価値を分かりやすく見える化し、御理解いただく中で、価格が多少高くても優先的に購入・選択していただけるような、消費者の意識改革といいますか、消費行動の変容を促していくことも大切なポイントだと考えてございます。今後、消費者により身近な農産物直売所において、お話にございました環境、地域等に配慮したエシカル消費がしっかり発信されるよう、農政部としても支援してまいりたいと考えてございます。 ◆依田明善 委員 昨日、佐々木委員のほうからトマトの話が出ました。高くてもいいもの、新鮮なもの、おいしいものであれば、多少高くても売れるということであります。これは真理でありまして、直売所の農産物が非常に新鮮なのはもちろんで、しかも、そういう履歴もある程度しっかりしていて、安心安全な野菜で、おいしいのであれば、意識の高い人たちが今どんどん増えておりますので、値段が高くても買ってくれると思うのです。本当に極端な話をすれば、例えば世の中には無肥料あるいは無施肥で栽培して、そういったものを、小さいリンゴジュースやニンジンジュースに加工しても、1缶200円あるいは300円でどんどん売られているのですよね。それを購入する人たちが全国にいるということ、それから、ジャガイモ1袋が800円や500円でも、いいものであれば買ってくれる人がいる世の中になっていますので、やはりもうかる農業、稼げる農業の基本には、そういったものがあるのではないかなと思います。ぜひ付加価値もしっかりとアップしていただき、かつそれぞれが競争して、直売所がレベルアップし、よりよいものを提供できる形に持っていくことができれば、また農業の振興にもつながるのではないのかなと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。私の質問は以上です。 ◆小林あや 委員 よろしくお願いいたします。私からも何点か質問させていただきたいのですけれども、まず5月末に起こった降ひょう被害についてです。新聞では被害額、被害状況等が報道されていましたが、実際どうだったのかということ、それから、どのような対応が取られていたのかということ、加えて、現状の課題と解決に向けた対策についてお聞かせいただきたいと思います。 ◎塩川ひろ恵 農業政策課長 5月25日の降ひょうでございますが、上田市、松本市、生坂村、池田町、白馬村で、リンゴ、ブドウ等の果樹、ネギとかズッキーニ等の野菜、リンドウに被害が発生いたしました。農作物の19.4ヘクタールに被害が及びまして、総被害額が8,043万1,000円となっております。こちらを受けまして、私どもと農業農村支援センターの職員が現地に赴きまして、すぐに技術指導を行っております。 ◆小林あや 委員 私も現地を視察させていただきました、私は生坂のブドウのところへ行きましたが、生坂の場合は非常に新興の農家さんが多く、副梢が生えれば何とか、小ぶりでも生産はできるのですが、主梢が折れてしまって、非常にがっくりされているという話を聞きました。県としては、市町村やJAさんとも連携をされていくのでしょうが、JAに属していない農家さんももちろんいらっしゃるわけです。どのような対応を支援として考えているのか教えてください。 ◎小林茂樹 農業技術課長 被害に遭われた方がJAに属していない、いわゆる系統外の生産者もいらっしゃるかと思います。今、委員おっしゃったとおり、一つは技術対策として新梢がやられてしまったので、副梢にならせて、少しでも数量、生産物を確保する、そういったことが技術指導として必要になってくると思います。もう一つは、経営的に収入が減ってきてしまう中でどうするかということですが、資金の借入れ等も含めて、市町村と連携して、農業農村支援センターで相談に対応したいと考えております。 ◆小林あや 委員 非常に局地的なものでしたから、局地的な対応ということで、非常に行政としては支援が難しい対応に見舞われるケースだったと思いますが、ぜひ様々な連携を行う上で、農家さんたちがやる気を失わぬ形で今後も御支援をお願いしたいと思います。  続きまして、女性の就農、女性の参画についてお伺いします。新農村女性チャレンジプランが今年度で計画の最終年度となるようですけれども、このプランについてはどのように評価、検証していくのか、今後の方向性について教えてください。 ◎荒井一哉 農村振興課長 今、委員お話のありました、長野県農村女性チャレンジプランということで、今現在は平成30年から令和4年度を目標としてこのプランを取り組んでまいりました。目指す方向としては、経営主体としての活動と調和の取れた生活の実現、食をはじめとする農村文化の魅力の共有と発信、そして多様性を認め合える活力ある農村社会の構築という3本柱で進めておりまして、今年で3周年になるところでございます。今現在、この計画の評価とともに、新たな計画の策定の段取りを進めており、委員に選定をお願いしているところでございます。その委員の皆様からの意見も含めながら、また現場の状況も収集しながら、最終年に当たって、評価をしてもらいたいと考えておりますが、基本的に、農村の生産面の4割くらいは女性の方に担っていただいておりまして、農業にとって、女性の役割というのは非常に大きなものだと考えてございます。しっかりと最終年度への評価をした上で、新たな計画、新たなステップを踏んでいきたいと考えてございます。  ちなみに、進捗状況については、具体的に数字で幾つか目標値を定めてございますが、今現在、七つの項目で目標値を定めております。目標としては、新規の女性自営就農者を年間55名と掲げておりますが、令和2年度段階では半分の21名、その前は28名でした。今現在まだ目標は達成しておりませんけれども、女性の認定農業者数は、目標200人に対して令和2年度時点で218名ということで、その点は達成しております。また、女性の農業委員、あるいは農地利用最適化推進委員が選出されている市町村数も目標に掲げていますが、77全市町村を目標としたことに対しまして、令和2年度現在で72市町村ということです。それ以外にも幾つか項目がございますけれども、評価項目によって達成しているもの、達成していないものがございますが、それぞれについて、どんな状況であったか確認しながら、新たなステップを踏んでいきたいと考えております。 ◆小林あや 委員 ありがとうございます。最初に、目標として3本柱があるとお話しいただいたのですけれども、達成指標というのが設定されておりまして、私もそれを拝見しました。今の段階というよりは、公表されている段階でのものを見たのですけれども、数値目標を達成することも大切なことかもしれませんが、そもそもの目的である3本柱がどのように達成されたと考えるか、これについてはどのような見解をお持ちでしょうか。 ◎荒井一哉 農村振興課長 基本的な目標としての3本柱に、推進すべき項目を、具体的にといいましょうか、ぶら下げて取り組んでおります。例えば、個性や能力を発揮できる農業経営であるとか、ワークライフバランスの実現であるとか、それぞれに項目をぶら下げているわけですけれども、客観的な評価というのはなかなか難しい部分もありまして、先ほどの達成指標も絡めながら、最終的な評価については、本年度、委員会を通じてまとめていきます。その中で、表に出せる形で評価できればと思っておりますので、今、この段階で申し上げることはなかなか難しい部分がございます。達成している部分も、していない部分もあろうかと思いますけれども、委員会の中でまた検討していただきながら、最終的な評価に結びつけたいなと考えております。 ◆小林あや 委員 計画をつくる段階で、女性が農を通してチャレンジしていくことで何を得たかったのかということは、話し合われていくべきだと思いますし、それは常に情報共有されていくべきだと思います。各それぞれの個別の数値目標というものは確かに設定されていますけれども、そもそもそれが何のための計画だったのか、常にフィードバックしながら進めてほしいのです。終わった後でまとめて評価を出すのではなく、常にPDCAサイクルを回すようにして、次の計画を策定する段階において、アウトカムは何であるのかという計画のゴールを、十分に練るべきだと考えています。個別の指標というのは手段のアウトプットです。その達成がアウトカムの解決につながったのかはまた別の問題になりますから、そこはぜひしっかりロジックモデルを構築してほしいと要望いたします。  次に、食肉処理施設ですけれども、先日、松本の部会で話し合われた内容を少し教えていだきたいと思います。また、全体のスケジュールとしてはどのような工程を想定していらっしゃるのでしょうか。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 食肉処理施設の関連でございます。資料15を御覧いただきたいと思います。食肉施設の検討会の中に二つの作業部会を設けて、複数回検討させていただきました。6月17日に、第2回の食肉施設検討会を開催したところでございます。この検討会が直近の検討会でございまして、今まで複数回、二つの作業部会で検討してきた方向性をそれぞれ発表していただいて、どこまで進んで、どこが課題であるかを明らかにする検討会でございました。その内容が、この資料2に記載してあります。  まず、(1)の松本の施設については、施設の老朽化が進んでいることに加え、施設所在地が松塩地区広域施設組合の新ごみ処理施設の候補地になったことがしばらく議論されていて、松本市からは立ち退きが求められてございました。そのことについて作業部会で検討して、移転新設する方向がいいのではないかという方向性が出てきました。今後、移転新設に向けて、より具体的な課題について検討していかねばならないことが方向性として出てきました。(2)の、もう一つの中野の施設については、浄化槽の老朽化が著しいということで、浄化槽の更新について具体的に進めていこうという方向性が、この検討会で出されました。 ◆小林あや 委員 分かりました。その後、3番にもありますけれども様々な関係団体からの要請があったということで、知事が一歩踏み込んでという答弁をされています。ポイントとしては、松本のごみ処理施設が移転する可能性があることですけれども、当然先方には先方のスケジュールがあると思うのです。老朽化していることもあり、こちらも次のことも考えなければならないこともあると思いますが、双方でどのようなスケジュール感を持っていらっしゃるのか、今はどのように検討しているのか教えてください。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 先ほどはお答えせず大変申し訳ありません。スケジュール感でございますけれども、まず中野の施設ですが、浄化槽は日々使うものでございますので、喫緊の課題になっております。ただ、今、世界情勢的な建設資材の高騰や、円安の関係もございまして、なかなか建設期間が見定めにくい状態になっていて、来年度から着工して、令和6年度には稼働したいというスケジュール感が示されたところでございます。  次の松本の施設に関しては、移転新設の方向性は出ましたが、このスケジュール感が大変難しゅうございます。工事期間は大概2、3年、設計を入れて4年くらいだと思いますけれども、一番は、移転する候補地が決まらなければ工事が始まらないので、この検討会の中では、できるだけ早期に移転新設しましょうというスケジュール感になってございます。以上です。 ◆小林あや 委員 非常にデリケートな問題ですので難しいと思いますけれども、松本の広域施設組合のほうでは、今のところ移転の年度が明確に出ていて、県でも最初は12年度とあったと思うのですけれども、そこが少し流動的になってきたのかなと思います。双方切実な問題を抱えていると承知しておりますけれども、どちらにおいても県民の生活に大変影響の大きい案件ですので、早期にとなっていますが、最初に県で考えていた12年ではなくて、より早い段階で着工というか、決着することを願っておりますので、引き続きの御尽力をよろしくお願いいたします。  そして次、地産地消です。これは様々な視点で質問がありますが、私は給食に設定されている価格に言及したいと思います。地産地消を進めるに当たり、給食に地元の食材を使う方向があるようですけれども、給食に設定されている価格も非常に安いという話を農業団体から聞いております。こういった金額について、県の皆さんはどのように考えていらっしゃるのかお聞かせいただきたいと思います。 ◎村山一善 農産物マーケティング室長 給食費の設定に関する御質問でございますけれども、実際給食費の設定に当たりましては、教育委員会のほうで所管しております。現在幾らかという部分は承知しておりますが、その過程において、どういった考えで設定しているかという部分は、申し訳ございません、お答えできない状況でございます。 ◆小林あや 委員 まさにこの点が、行政の縦割りをもう少し横に広げて、連携していただきたいなと思う点です。給食に地元のものを使いたいという言葉は、様々な方面で聞かれますが、実際に、担当課はどの部署で、どういう支援をしていくのか、どう連携しているのかについては、なかなか進んでいないのが実態かなと思っておりますので、ぜひ担当の部局と連携して、地産地消を進めるとともに、県内の農家への支援も相乗効果としてしっかり考えて、政策を打ち出していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 ◎村山一善 農産物マーケティング室長 私のお答えが不十分で申し訳ございませんが、学校給食に関して、農政部としましては、教育委員会と十分連携をしながら情報共有して、一体的に進めているところでございます。特に地元産の農産物の使用については、目標を定めて活用に向けて連携して進めてございます。特に地元産を活用するに当たっては、価格あるいは流通の問題等、幾つかの課題がございますので、それらをどう解決するか、共有して進めております。特に今、地元食材が改めて見直されるところでございまして、教育現場としても地元産をいかに使うかという認識もございますので、ここは方向を一にして、しっかり進めてまいりたいと考えております。 ◆小林あや 委員 ありがとうございます。私が最初に申し上げたのは、今おっしゃった課題の一つで、価格の問題です。農業団体からは、少し安過ぎるのではないかという声もありますし、かといって、そのまま反映させると直接跳ね返ってしまうこともあるので、それに対して行政がどのように緩和策を講ずるか、この点が重要だと思いましたので今回質問させていただきました。なので、その点も含めまして、ぜひ教育委員会や、地元農家の皆さん、農業団体の皆さん等の声を聞きながら、よりよい政策へと充実させていただきたいと要望しておきますので、よろしくお願いいたします。そして、地産地消の自給率については、前回や前々回、過去の委員会においても、全国平均が30%台であることに対して、長野県は50%を超えているので頑張っているほうだという発言があったかと思います。私もそのとおりだと思うのですが、他県と比べて、全国平均と比べて高いからこれでいいというわけではなくて、目標を立てながら地産地消を進めていく必要があるのではないかなと思うのですが、実際どのような目標を目指していらっしゃるのか教えてください。 ◎塩川ひろ恵 農業政策課長 食料自給率のお尋ねでございます。国におきましては、カロリーベースで45%を目標にと公表されておりますけれども、県において具体的な目標値は持っておりません。むしろ、自給率向上に向けてしっかりと生産できる体制をつくっていく、あるいは地消地産で消費をうまく進めていくだとか、そういった取組を、県としては一生懸命進めてございます。 ◆小林あや 委員 地産地消を進めていくのなら、ある程度自分たちの県で目標を決めて政策を推し進めていくことが必要かなと思っておりますので、こういった目標を掲げて、こういう政策をしているのだという、全体の地産地消のサイクルを目に見えるような形で出していただけると非常に分かりやすいですし、様々な関係団体の皆さんも理解しやすく、参入しやすくなると思います。県民の理解を広く得るためにも、大きな目標を掲げながら県としてはぜひ積極的に進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。自給率の問題も、長野県は米を作っている農家が多いから、おのずと自給率が上がっているだけだという意見もあると、私も農業団体の方からお聞きしています。ですから、そういった背景にあるものが何なのか、県の特徴も分析して、自給率の分析と今後の方向性を出していただければと思いますので、要望いたします。よろしくお願いいたします。  続きまして、米を作っている農家が多いという、ここに視点を移しますけれども、ブランド米について、「風さやか」は中信地方でよく取れると聞いております。ただ一方で、もともとは「コシヒカリ」がライスセンターに集中することを防ぐため、作期分散のためにつくられたブランドとも聞いています。販路拡大についての取組をどのように考えているか、これは過去の委員会でも質問しているのですが、改めて質問いたします。 ◎小林茂樹 農業技術課長 「風さやか」につきましては、「コシヒカリ」より若干遅く取れますので、委員おっしゃるとおり、作期分散という中で、農家の適期収穫時期が重ならないよう分散して作付しております。そのPR等につきましては、営業局とも連携する中で、昨年、冷めてもおいしいというエビデンスを取れるか調査してございます。今、データについて取りまとめ中でございますので、そのデータも生かしながら、業務用も含めてPRする材料になるか、確認した上で、活動していきたいと考えてございます。それから、県内の消費者向けに、テレビコマーシャル等を使ったPR等を昨年度も実施いたしました。本年度も、今後プロポーザルをかける中でPR等を積極的に行ってまいりますし、試食用の米の小さなパックといった資材等もうまく活用しながら、今後消費者に「風さやか」の認知度を高める取組を進めてまいりたいと考えてございます。 ◆小林あや 委員 ありがとうございます。昨日も県内の8割を「コシヒカリ」が占めているという話がありましたけれども、今、全国的にも「コシヒカリ」を栽培する県が増えてきて、「コシヒカリ」自体が珍しくなくなっているのではないかという声があります。長野県は「コシヒカリ」が8割ですから、言ってみたら、これ一本で勝負してきたところがあると思うのですけれども、今後はそういかないのではないかという声も農業団体から聞いております。例えば、北海道でしたらお米専門の部署が、青森でしたらリンゴの専門の部署がありますが、長野県においては何をどんなふうに販路拡大していくのか、専門部署がないわけです。何をどのように販路拡大していくのか、これは農業団体の方たちから本当によく聞く話でして、北海道はこうしている、青森はこうしている、では、長野県はどうなのだと。ナンバーワンのものも幾つかあります。トルコキキョウも含めて、花卉は本当にナンバーワンのものもあるけれども、一方で、なかなか1位を取れないものもあると。だけれども、トータルとしてはいろいろあるところをどのように売っていくのか、よく聞かれるのです。ですので、こういったことについて、どう見解を持っているのかお聞かせください。 ◎小林茂樹 農業技術課長 まず一つ、全国の生産量の中で長野県の立ち位置としましては、全国で765万トンくらいの生産を今年目指しているわけでございますが、長野県は、18万から19万トンという生産量でございます。そうしますと、全国で立ち位置からすると17番目くらいの生産量になってきますので、ある程度のロットが必要になってまいりますが、品種がばらばらになりますと、売るときに逆に不利益になることもございます。ですから、ある程度品質のよいものを、ロットをまとめて生産し販売していくことも重要な考えの一つだと思っております。そういった点で、「コシヒカリ」を中心に、そこに作期分散も含めて、現在「あきたこまち」や「風さやか」が作付されておるわけでございます。長野県の米は一等米比率が非常に高くて高品質であるという点、それから、価格的には、新潟の「コシヒカリ」まではいきませんが比較的上位にあるという点、業務用に非常に評価が高くて多く使われるという点がございます。ですから、業務用筋、プロ向けに販売をしていく、これが一つあると思っております。もう一つは、県民の方により多く県産米を食べていただく形で引き続きPRを行うとともに、「風さやか」等につきましては今後県外にもPRをし、広く県産米の消費拡大を図っていきたいと考えてございます。 ◆小林あや 委員 他県向けのみならず、海外に向けても積極的な戦略を打っていく覚悟でいるということで、期待はしておりますが、一方で、海外のスーパーの日本米の陳列棚には、非常に多くの品種が並んでいると聞いております。本当にたくさんの品種があって、その中から長野県のお米を選んでもらえるかは難しいところです。このような状況の中で、どのように本県のお米を差別化していこうと考えていらっしゃるのか、お聞かせください。 ◎小林茂樹 農業技術課長 全国的には非常に多くの米が輸出されておりまして、品種も多様なものがございます。特に名前で売っているものもございますが、ただ、長野県のコシヒカリは、海外におきましても非常に評価が高いと聞いております。というのは、品質が安定している点がございまして、消費者からクレームがないといいますか、間違いがないというふうに言われてございます。そういった点をプロの業務用筋や海外でも理解をしていただいた上でPRをしていくことが一つ取れると思っております。それから、今年、農産物マーケティング室のほうで予算化して海外でのPR等も行う予定でして、その辺のよさを広く海外の消費者にも理解していただく点が必要かと考えてございます。 ◆小林あや 委員 海外の風土や文化から見て目を引くパッケージあるいは売り込み方と、我々日本人がこれでいいのではないかと思う売り込み方は、決して同じではありませんので、ぜひマーケティング分析をしていただいて、デザインも含めてどのようなアプローチをすればそこに差別化が生まれ、彼らにとって買いたくなる米となるのか、しっかりと分析していただきたいです。それはもしかしたら日本人の我々からしてみたら、えっ、これでいいのと思うようなデザインやアプローチの仕方になるかもしれないけれども、そこは相手先あってのことですので、ぜひお願いします。 ◎村山一善 農産物マーケティング室長 海外への米の輸出とマーケティングの関係ですけれども、委員お話のとおり、今、まさに海外で、日本産米の需要が非常に高まっております。本県としましても、ここ数年、県産米の輸出が着実に伸びているということで、本年度事業の中でも香港やシンガポールにおいて、現地のバイヤーさんあるいは量販店にヒアリング等も行うことを予定しております。まさに、今、委員お話のとおり、実際現地でどういったものが求められているか、パッケージデザイン等も含めて、しっかりヒアリングを行いながら、生産現場にフィードバックしていく形で進めていきたいと考えております。 ◆小林あや 委員 よろしくお願いします。そして、これは要望ですけれども、お米は日本人の米離れもありますが、その中の一つというのは、炊飯が面倒くさいといいますか、料理が非常に大変で、時間もかかるということもあって、それでパン食に移ることも考えられます。今後、日本のお米を、県産米を海外にアピールしていく、売り込んでいくに当たっては、私は炊飯業者もセットで考える必要があるのではないかと思っておりますので、そういったこともぜひ視野に入れていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  最後に、これは要望なのですけれども、ウクライナ情勢の影響で価格の高騰や調達が困難な理由から、また小麦の生産を何とかしなければという動きがあると聞いています。その一方で、長期的な視点で腰を据えて生産にシフトするのであればいいのですが、急しのぎで生産するのは得策でないと考える、そういう声も農業団体から上がっております。これについては、長期的な視点で視野に入れて、関わっていただきたいと思いますので、要望とさせていただきます。以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○小山仁志 委員長 午後1時30分まで休憩を宣した。 ●休憩時刻 午前11時49分 ●再開時刻 午後1時29分 ○小山仁志 委員長 再開を宣し、委員の質疑等発言を許可した。 ◆池田清 委員 それでは、何点か質問します。よろしくお願いします。資料の6、7に、用水トンネルの工事請負契約の締結について書かれております。それぞれ用水トンネル工事を進める中で、工事金額が減額、あるいは増額になりましたけれども、まさに経年劣化で傷みが激しく、これから支障を来すと思われるので、しっかりと更新していかねばなりません。一つは御代田町、もう一つが飯山ですけれども、県下には同規模の用水トンネルどのくらいあって、これからメンテナンスをしていかなければならない用水がどのくらいあるのかお聞きしたいと思います。 ◎平林孝保 農地整備課長 用水トンネルの県内の施設ということでございます。受益面積100ヘクタール以上の基幹的な農業水利施設と呼んでおりますけれども、私どもで把握している大規模なものについては、県も積極的に関与し、土地改良区や市町村の皆さんと連携しつつ施設整備等を進めておるところであります。今の水路トンネルですけれども、県内に162か所ございます。昔に掘られたものが多く、これまでも、例えば落盤等があるということで、地域の皆さんからの御要望をいただきながら、随時補修ですとか、今回ありますように新しいバイパストンネルに掘り直す等、計画的に進めてきておりまして、全体で、あと何か所かは把握していないのですけれども、まだ改修が必要なものもありますので、随時費用負担等も含めて地元と相談しながら進めてまいりたいと考えております。 ◆池田清 委員 162か所というのは、それなりに多い箇所数だと思います。これから落盤等によって水が止まってしまってからでは遅いわけで、これは計画的にしっかり平準化をしながら予算措置もしていただきたいと思います。  減額については、空洞部分の割合が少なく、それによる減額ということでありますし、もう一つは、予想した以上に硬い岩盤が出てきて、工法や期間も含めて費用が増額となるということです。これも共に随契で、それぞれ専門的な知識、技術を持っていないとなかなかできない工事だと思いますが、事前の調査ももちろんやっていますよね。その上で、資料に書いてあるとおりの変更理由によって減額に至り、予算が立てられたのだと思うのですが、事前の調査等によって、最初から予測できなかったのですか。 ◎平林孝保 農地整備課長 地中のことですので推定の部分も当然ありますけれども、いずれのトンネルも工事発注前の調査等に基づいて実施可能な工法選定をし、積算を行い、入札にかけ、落札業者さんと契約をし、実施しているものでございます。減額している大久保地区のトンネルにつきましては、400年以上前に掘られているということが一つありますのと、空洞は事前に把握はしておらなくて、掘削、発進立坑という立て穴を掘っていくときに空洞が見つかったと。これは何かということでいろいろ地元の聞き取り等調査をしたところ、どうも第二次世界大戦のときの防空壕ではないかという情報もありましたが、入口部分も埋まっていたため、その存在については確認できなかったと。施工中にそういった空洞隙が発見され、今回のトンネル工事に必要な部分の閉塞を行ったというものでございます。  それから、もう1件の柳原地区の水路トンネルでございますが、こちらは従前の調査としますと、既設トンネルがありましたので、その中の岩質等の露頭の状況目視で調査しております。それから、弾性波探査といいまして、地中に衝撃を与えて、その跳ね返り等で地中の硬さ等を推定する工法がありまして、そういった事前調査において設計を行っております。ただ、今回の場合には、その調査で確認された岩質と硬度、風化クラック等の状態が異なっており極めて硬く、機械の掘削が困難な状況が生じたというものでございます。 ◆池田清 委員 分かりました。いずれにしても、地下のことなのでなかなか把握できない部分もあると思いますけれども、ただ、増額するほう、4.5億の予算が3億円近い増額ということで、大変大きな増額になりますので、ぜひともこの辺について精査をしていただきたいと思います。  それでは、続いて、資料8になりますけれども、農産物の直売所の支援について資料を頂きました。御説明いただいたとおり、様々な農産物直売所が、1億円を超える大きな売上げを持っております。県民にも大変なじみがあり、そしてまた、県外の皆さんにも親しまれています。少し課題もあるかもしれませんが、そうした農産物直売所は大変重要だと思います。それぞれ地元の農家の皆さんは、どのぐらいの売上げを個々にお持ちなのか、これはアバウトな形でいいのですが、把握されているのでしょうか。 ◎村山一善 農産物マーケティング室長 個々の農家の売上げについてですけれども、それぞれの直売所によって組合員の数を把握しておりますので、1億円以上の直売所においては、売上げを直売所に出荷する組合員の数で割りますと、おおむね100万程度の売上げがあるということになります。個々の農家は、それぞれ大小ございますけれども、平均しますと100万、あるいは販売単価が高い、観光地のような大きな直売所ですと200万程度になります。そういったデータを持っております。 ◆池田清 委員 今お話があったように、単価の高い農産物、この前も説明いただいたクイーンルージュとかシャインマスカットとか、大変高価で人気のあるブドウなどについて、果樹の盗難が大分、県下各地で発生しており、最近全国的にもテレビで報道されていますが、長野県内においてそのような農作物の盗難事件把握されているのでしょうか。また、どのような対策を取られているのかお聞きしたいと思います。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 果樹の収穫前に畑から盗難されるといった事例の質問だと思います。今年はどうも山梨県で盗難が多くなっているようですけれども、昨年、県警のデータによりますと、届出があった件数は16件、被害額で188万5,000円、被害届を出さず問合せのみあった案件が37件と私ども聞いてございます。対策については、当然県警の皆さんとも各地域が連携をして、自主的にパトロールを行っているところですけれども、農業サイド、生産者サイドからの盗難予防といいますか、盗難対策については、自分の果樹園の畑に防犯カメラを設置することや、それぞれの地域の農家の方たちの軽トラックに「パトロール巡回中」ステッカーを貼るとか、そういった啓発の自衛手段を使っているということでございます。やり方については、振興局にある支援センターの皆さんとも知恵を出しながら対処してございます。 ◆池田清 委員 警察との連携といいますか、届出をした上で、夜間のパトロールをしていただくだとか、その前段でJAの青年部の皆さんの見守りとか、あるいは生産者の皆さんの夜間見回りだとか、自分の畑に防犯カメラを設置するということも自衛手段として行われるなど、いろいろなことが考えられると思います。先ほど、今年の被害は16件、188万円という話もありました。金額的には、これだけとってみれば、決して大きくないかもしれませんけれども、せっかく丹精込めた、それこそ収穫して直売所にお持ちすれば、まさに高価な値段で売買できるものが、そのまま取られてしまうことは、本当にいたたまれない状況だと思うのです。例えば、防犯カメラ等に対して何かしら設置の費用を補助するなど、JA等でそうした対策協議会があるかもしれませんが、県としても、そうしたところに関わっているのでしょうか。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 御自身のいわゆる資産をお守りになるということですが、特に県としては、防犯カメラに対する支援等は行っておりません。 ◆池田清 委員 資産の形成等、細かいところをそろえていくことは、なかなか難しい部分あるかもしれませんけれども、個々の対応ではなくて、まさに地域全体として取り組んでいる作物について、対策協議会などをつくる中で、いろいろな対応策が求められることもあると思いますので、一つの課題として検討していただきたいと思います。
    ◎吉田新一 園芸畜産課長 地域ぐるみでそういった盗難対策を取っているところもございます。松本の振興局においては、松本地域の元気づくり支援金制度を使って、そういった自衛手段に対する支援を行ってございます。 ◆池田清 委員 今のケースは好事例だと思いますので、各振興局で、いろいろな取組が求められる中で、そうしたことも事例として参考にしていただけるよう、周知をお願いできればと思います。私も昨年の今頃、信濃町のトウモロコシをたくさん作っていましたが、夏から秋にかけては、いわゆるトウモロコシの街道で焼きトウモロコシを出す方から、トウモロコシが、どうも熊ではなく人の手によって大分取られてしまうという相談もありました。柏原に交番もありまして、その方にも相談して、夜間のパトロールをしていただいたという経過もありました。ずっと防犯カメラで対応する、頻繁に夜間パトロールをするとかというのもなかなか難しい部分があると思いますけれども、県としても、今言った元気づくり支援金なども含めて対応していただければと思いますので、よろしくお願いします。  続いて、資料11ですけれども、農福連携ということで御説明をいただきました。福祉施設を利用している皆さんに、様々な農業のお手伝いをしていただくということです。マッチングは大変大事だと思います。これは農村振興課だけではなく、障がい者支援課や福祉部門の皆さんと連携していかなければならないと思いますが、そういう中で質問したいのは、台風19号災害のときも、長沼地域のリンゴ畑も泥をかぶるなど、大変大きな被害がありました。その土の払出しを行うということで、福祉施設の皆さんにも御協力いただいたとお聞きしていますけれども、実際に働いていただいている皆さんの工賃、細かく言えば時給が幾らということになるかと思うのですが、それぞれの作業ごとに、一つの基準、ガイドラインみたいなものはあるのでしょうか。 ◎荒井一哉 農村振興課長 障害者との農福連携に関して、賃金について御質問いただきました。農福連携の関係は、事業所を通じて行っているのですが、事業所は主に二つに分かれております。A型事業所とB型事業所でありまして、それぞれ障害の程度が異なり、それによって賃金も実質的には異なっております。具体的に申し上げますと、A型事業所は、雇用契約を締結し支払いを行う事業所で、最低賃金を保障して作業を行っていただくということで、農業だけではなく、ほかの作業と一緒に計算しております。令和2年度が直近の状況ですけれども、月に8万5,000円、1時間あたりに換算いたしますと885円という金額でございます。長野県の最低賃金が877円ということですが、それに近い形で、最低賃金を保障されていると。一方、B型事業所は、雇用契約に基づく就労が困難な方々に対して就労の機会を提供する事業所ということで、こちらの場合には月当たりお一人1万570円、時給換算いたしますと245円という状況です。これは障がい者支援課調べの数字でございますけれども、私どもはそう聞いております。 ◆池田清 委員 それぞれの工賃の算出に当たっては、障がい者支援課とのいろいろな協議を経て今の数字ができたということでよろしいですか。 ◎荒井一哉 農村振興課長 ただいまの金額については、実績の単価でございまして、それぞれに契約するものですから、契約に従って相対で、障害の状況や、できる作業の内容によって、異なってくるかと思います。A型事業所については最低賃金を保障することが条件になっておりまして、少なくとも農業関係で作業ごとに工賃を設定するということは今現在行っておりません。 ◆池田清 委員 いずれにしても、農福連携というのは障害者の施設にとっても、一つ大きな仕事でありますし、それによって工賃を得て、それぞれの自立に向けての糧になるわけですから、それぞれ障害部門ともこれからも連携しながら進めていただきたいと思います。  それから、資料13の新規就農者の確保・育成なのですが、それぞれ現状や経緯を含めて、課題等についても御説明をいただきました。そうした中で、45歳未満の、これから農業を自分の生活の糧として、そして長野県で土地を耕していく方も重要になります。この部分と少し関連して、移住の関係、これはちょっと部門が違うかもしれないのですが、定年を迎えて農業を進める人たちも大変重要であると思いますので、伺います。長野県の特性からしても、中山間地を中心とした大変条件の悪い、小さな田んぼや急峻な傾斜のある畑において、なかなか大規模の機械化もできない中で、田畑を耕し、そこで農作物を作るということは、農業水利や食料の確保だけではなく、まさに農業の持つ多面的機能を発揮していただく、重要なことでもあると思います。緑のダムと言われるように、しっかりと田んぼに保水できれば、災害対策に繋がります。私も、一反五畝ぐらいの田んぼと2反歩の畑があるのですけれども、毎日5時半くらいから、苦労して野生鳥獣と戦いながらやっております。今度JA中央会の会長になりました神農さんもよく持論でおっしゃっていますが、国やいろいろなところで小さな農業、小農という言葉が出てきますし、家族経営などの小さな規模の農業を、一つのキーワードとしながら、これからも土地を維持していくことが重要だと思うのですけれども、部長、どのように思われますか。 ◎小林安男 農政部長 今後の農業の維持に対して、小農の方たちについて御質問いただいたかと思います。農政部では、農業の担い手の確保・育成、これが最も重要な課題だと、先ほど来から説明しています。直近する中では重要な課題だと認識しています。そういった中で、大規模化を進めて、一定の規模を持つ生産者を育成していく方向に合わせて、もう一方で、いわゆる家族農業を主体とした小規模農家、こういった方々にも一定の農業の生産、農村の維持という部分を担っていただくということで、非常に重要な役割を果たしていただいている方たちだと認識しておるところでございます。今後も、大規模生産者の育成と併せて、小規模農家への確保・育成、こちらを両面から進めていくことが重要だと認識しております。 ◆池田清 委員 両面という言葉をいただきました。ありがとうございました。私の住んでいる実家の集落は、今17戸くらいしかないのですが、その東側のほうに約4反歩ぐらいの田んぼがあります。これを4人で作っていたのですが、今年88歳のお一方が一年、田んぼを作らなかったので、半年で雑草が生えてきまして、ちょっと見るに残念な、悲しい状況なのですが、残りの3人で今それぞれ1反2畝、3畝ずつぐらいの田んぼをやっています。あと何年もつかという気もしないでもないけれども、しっかり維持していかないと、ますます中山間地の農地が荒廃してしまうということで、ぜひとも小農についても重きを置いていただきたいと思います。1反歩当たり100万を超えるようなシャインマスカットやクイーンルージュ等の農作物がある一方で、ほぼ自給であるとか、あるいは、僅かに御近所の人や親戚にあげるくらいの小さな農家でありますけれども、同じような人々が本当に県内多くいるわけで、同じような田んぼ、畑も多いと思います。ぜひそれらも考えつつ、様々な農業施策を進めていただきたいと思います。以上で終わります。 ◆中川博司 委員 最初に、食肉処理施設の関係で確認なのですが、長野県から国に対する要望の中に、食肉処理施設の整備支援に関わる国庫補助事業の要件の緩和を要望されています。2施設維持になりますと、現状の国の補助の枠組みで該当しないと。だから、小規模な食肉処理施設であっても補助してほしい、こういう意味だと思うのですが、その概要を改めて説明してください。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 県内の食肉処理施設については、しばらくの間2施設体制でいこうと、長野県の合理化計画で提示しております。そうはいっても、この両施設とも、昭和30年代、40年代に造られたものであり、約60年たって老朽化をしているということで、いずれにしろ更新なり新築なりが必要でございます。そうした中、国の事業の中の、強い農業づくり交付金の中に、食肉処理施設に関する整備の助成メニューがございます。その中の一つに、規模の要件がございまして、おおむね1日700頭という要件がございます。今現在、松本の施設ですと1日約400頭弱、中野の施設ですと約300頭弱ということでございますので、数合わせでいけば、この二つを統合すれば国のメニューに合致することになります。しかし、今般の家畜伝染病が2年前に長野県で出たとき、一つの屠畜場が閉鎖してしまうと、もう一つで代替することもございました。それから、長野県は大変広く、例えば飯田から北信まで運搬するとなると、それだけで経費がかさみます。国が強い農業づくりで言っている、いわゆる今までのスケールメリットを追求した要件ではなくて、先ほど言った家畜伝染病のリスクを避けるため、中山間地域に合った規模のものであっても国庫事業の対象にしてほしいということで、要件緩和をこの6月13日に要請しているところでございます。以上です。 ◆中川博司 委員 見通しはどうですか。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 ここ昨年から、国に対して要請しているところでございます。実は、強い農業づくりの先ほど言った要件の中に、離島であれば、おおむね700頭という規模を若干下げてもいいよというメニューもございましたので、我々としては、中山間地域を対象としたメニューもどうかと提案をしています。つい最近の伝染病、豚熱に関するリスク回避もお願いしてございますけれども、なかなか農水省的には厳しい状況かなと思っています。 ◆中川博司 委員 とすると、なかなか要望はしているけれども、老朽化は進んでいく、建て替えを急がなければいけない、でもそれには間に合わない、結局、国の補助金をもらうためには1施設でやるしかないみたいな方向も議論しなければならないのかなと。結局、補助が出ないと建て替えができなくなってしまいます。今ここでそれを答弁しろと言っても、なかなか難しいとは思うので、当然そんな点も検討されているかなとは思いますが、現状がそうだという認識だけはお互い持っていたほうがいいかなと思ったので質問しました。  次に、さっき小林委員さんからもお話のありました、生坂村の降ひょう被害について私からも質問させていただきます。一昨年は三郷村で、新わい化栽培は密植しているものだから、風に弱く、強風が当たってばたんと倒れることがありましたよね。そのときも、結局被害が全体にわたらないということで、いろいろ知恵を絞ったけれども、新わい化密植栽培に対する補助金ももらっていたので、その最中に県で新たに支援することは難しかったという話もありました。結局、安曇野市からお見舞いを出してもらったわけですけれども、今後も、局所的な被害は異常気象だと起こり得ると思うのですよね。以前も、長野県の補助で池田町の畑の構造改善事業をやりました。あのときも、ゲリラ豪雨で土砂がどんと流れて、ちょうど真下にお宮があり、そのお宮を避けるようにして土砂が人家のほうまで入ったことがありました。お宮があって助かったということですけれども、去年の強風被害に加え、今回の生坂村の被害もあります。生坂村のブドウも、実は御案内のとおり、かなり古くから開拓で入っていますし、そしてまた、今回新たに構造改善事業で大日向にも新たなブドウの産地形成してもらっています。標高が少し低いのかな。そちらは全然被害がなくて、かねてからあるところに局所的に被害があったということがあります。今後のことを考えると、規模感だけではなく、特に生坂の皆さんのところは村長も新規就農者を迎え入れて、何とか農業で頑張っていこうと思っている、そういうところに災害が起こると、なかなか次も、頑張ろうという気持ちが出てこないと思います。今すぐ何かができると答えが出るとは思いませんけれども、ぜひそういう局所的な災害についても対応してもらいたいと思うのです。そういうふうに言うと、大体、ぜひ収入保険に入ってくださいという答えが返ってくるのですけれども、収入保険も結局のところは青色申告していなければ入れませんし、今回被害を受けた農家のうち、収入保険に入っていない農家もあるわけです。そうしたところはどうするんだというと、農業共済はどうかと提案されますが、降ひょう被害は3セットから外れてしまったでしょう。そうすると、結局、対策すると言っていても、技術指導だけで何もできないという状況になってしまうのですよね。これが現状ですよ。なので、提案といいますか、考えてもらいたいことは、雨よけネットですね。現場に行くと、今のブドウの作り方は、縦にずっと長く作ると思います。その上にビニールシートを、雨傘を張るように張ってあって、それが霜よけにもなるし、ひょう被害の対策にもなるのです。ただ、結構お金がかかるので、産地パワーアップの補助金等を使って今までやってきていたのですけれども、なかなかハードルが高くて、使いにくいといいますか、なかなか当たらないということがあります。なので、これを何とか使ってでも支援ができないか、ぜひ検討してくれと、地元の農村支援センターの三田所長には言ってありますけれども、どうなっているでしょうか。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 数年来、局所的な気象災害が大変多くなっており、特に果物関係の被害が甚大になっていると承知してございます。そういったことを踏まえて、委員御指摘のとおり、通常産地パワーアップという国庫事業を御紹介します。ただ、そうなると、今度は土地の要件がございまして、確かにハードルが高い状況です。私どもとしては、ここに二つのメニューを追加してございます。一つは、先ほど高密植栽培で横の風に弱いということなので、トレリスにワイヤーを何本か通して補強する、そういった経費について、信州農業生産力強化対策事業という県単事業がございまして、2分の1以内という予算内で支援をするというメニューです。たまたま今年は、諏訪と箕輪の方たちで、グループでその補強を、トレリスの密植栽培に使う予定になってございます。もう一つは、ダイレクトに通じないのですが、雨よけネットですね。霜よけ、ひょう害、ひょうを避けるということで、多目的防災ネットとも呼んでございますが、メニューの対象に追加しました。これも今年になって、松本の地区で、グループで多目的防災ネットを導入する地域が出てきたところでございます。県単事業で予算に限りがありますけれども、そういったメニューを御紹介しながら、局所的な、ゲリラ的な被害に少しでも備えるような地域が増えていけばいいかなと思ってございます。 ◆中川博司 委員 多目的防災ネットは、今回の生坂村でも申請をしたとしたら利用は可能なのですか。それと、補助率はどのくらいですか。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 令和4年度の今年度分については、既に事業要望を取り尽くしてございます。今年の災害なので、やむを得ないと思うのですけれども、今年の予算の中で、例えば入札残が出てくる可能性もあります。ただ、生坂の方が狙っている雨よけネットは、ここには該当しないので、ひょうと霜よけであればと考えているところです。どうしても雨よけのネットというのは、実際はひょうを避けるためではなく、作型を早めるための施設になりますので、その辺りが異なってくるのかなと思っています。 ◆中川博司 委員 そこは大丈夫ですね、読み違えればいいですからね。だとすると、これは要望になるのですが、補正をつけていただいて、対策を進めるべきことだと申し上げておきたいと思います。部長に答弁を求めると困ってしまうとは思いますが、いいですか。部長お願いします。どうですか。 ◎小林安男 農政部長 災害の局所的に発生する災害に対する支援に、補正もつくったらどうだということでいただいたところでございます。先ほど園芸畜産課長が申し上げましたとおり、県としても、昨年の20億を超える大きな凍霜害もありましたので、災害対策に対する支援の中で、信州農業生産力強化対策事業にメニューを増やしてきたということで、できる限りの対応はしてございます。今回、生坂村のほうで、本当に局所的に、数人に限定できる中でひょう害が発生していることは承知していますけれども、直ちに全ての補正ができるともお約束できませんので、来年度に向けてどういう形が検討できるのかという部分については、全体の災害への対応の中で、今後検討してまいりたいと思います。 ◆中川博司 委員 重ねて申し上げますが、近年の気候変動の中で、局所的な災害が今後頻繁に起こり得る状況だという認識を持っていただいて、対策を強化していただきたいと重ねて申し上げます。  それから関連して、今年は遅霜があまり多くはなかったのですが、去年は、先ほどもお話がありましたように大変でした。私の地元も、桃の農家で燃焼材をたいて何とか頑張ったのですが、それでも駄目なところが結構多くございました。聞いたところ、燃焼材は輸入のものを使っていて、これが結構高いのですよね。燃焼材への支援はないそうですが、ただ、最近、中日新聞かどこかで見たのですけれども、もみを使ったモミガライトという燃焼材が出てきているそうです。さっき鈴木委員さんからも出た防霜ファンへの支援も、防霜ファンを維持している人たちに聞くと、何にもないのに電気代だけかかって大変だという話もあるものですから、県としても例えば防霜ファンの電気代の支援や燃焼材への支援等を考えていただきたいのですが、現状どうなっているのかお願いします。 ◎小林茂樹 農業技術課長 私からは、燃焼材についてお答えさせていただきたいと思います。試験場でも本年度から、商品名はちょっと申し上げられませんけれども、海外のそういった材を燃焼材として試験的に効果を検証しておるところでございます。委員のおっしゃられたモミガライトにつきましては、もみ殻をぎゅっと圧縮させた形で、価格が海外のものの約10分の1とお聞きしておりますが、燃えにくいという課題もあると聞いてございます。試験場では、それについてはまだ試験はしておりませんけれども、佐久地域の農家の集まりの方々、中信地域のJAでは、実際にそれを使って効果を見たとお聞きしております。そこには農業農村支援センターの職員も立ち会っておりますので、そういった中で、どのような効果があるか、次年度に向けてその辺の情報収集をする中で効果を検証してまいりたいと考えてございます。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 燃焼材の購入や、防霜ファンの電気の料金の支援について御質問だと思います。燃焼材の価格が若干上がっているというのは承知してございますけれども、基本的に消耗品、農薬・肥料と同じ類いのものであると認識しているので、特に県から補助事業を考えてはございません。それから、防霜ファンの電気料について、確かに昨年のように低温の機会が複数回あった場合には、昨年ですと年間で、1ヘクタールで9万円くらい、10アールでは9,000円かかったという事例もございます。今年みたいに低温のチャンスが少ないと、ほとんど基本料金の二、三万円で終わっているという状況でございます。今回、いわゆる価格高騰の中で、電気料金は、非常に高騰しております。これは防霜ファンだけでなくて、例えばキノコの農家でございますと、当然エアコン、暖房・冷房もございます。それから、施設の暖房代もございますので、農業だけでなくて、様々な産業の方たちも電気料金の高騰には苦慮しているのかなと考えてございます。資料2では、エネルギーコストの削減促進事業が、まさに中長期的に、できるだけ省エネルギーで様々な製造業や小売業等をフォローする事業だと考えてございます。農業分野でも約3億の事業化をして、エアコンや冷房への支援をしてございますので、そちらを支援しながら、今後予想される電気料金の高騰にも耐えていかなければならないかなと思っています。 ◆中川博司 委員 ただ、これはあれですよね、省エネ設備・再エネ設備を新規あるいは更新のときにやるものなので、新規で省エネタイプの防霜ファンなどは聞いたことはないですし、なかなか該当するとは思えないので、最初からの災害対策というと、1回災害があると本当にやる気がなくなってしまうので、そこを何とか支援をしていただきたいと重ねて申し上げておきます。  では、次の質問にいきますが、環境に優しい農業、有機農業の推進についてですが、実は去年から松本支援センターや野菜花き試験場の皆さんにもいろいろ相談し、協議会の中で風食被害の対策をしているのですが、野菜花き試験場や山形村でも、緑肥による風食対策、北佐久のほうで行っている越冬マルチを実施し、風食被害対策になるかという研究をしていただいています。その中で、緑肥というのが出てきて、私も不思議に思ったのですけれども、野菜花き試験場の研究チーム、研究班というのでしょうか、そこによると、マメ科の緑肥を植えることによって、砂ぼこりが立ち上がることを抑えられると分かってきたといいますか、やってみたらそれなりの効果があったそうです。洗馬農協の指導員も、これはやってみたいと言って帰ってきましたけれども、それが土の中に窒素を固定して、窒素肥料を4割くらい削減することができるとおっしゃっていたのです。これは風食被害対策だけではなく、いわゆる化学肥料の値上がりの中で、化学肥料を少し使わずに済む方法なのかなと感じました。現状、研究状況から、マメ科の窒素だけではないと思います。ソルガムの効果みたいなものもあると思うので、現状の緑肥による、化学肥料に代わる研究の状況、成果について教えてください。 ◎小林茂樹 農業技術課長 中川委員も御承知のとおり、野菜花き試験場におきまして、様々な研究を進めておるところでございますが、風食防止と緑肥の効果を併せ持つ作物という形の中で研究をしておるわけでございます。麦等のイネ科作物、そしてイネ科以外の作物について、栽培特性、窒素の集積量に関するデータを今集めておるところでございまして、現地と一丸となって取り組んでございますが、現在まだ試験データは集計中でございまして、結果はまだまとまってございません。しかしながら、ヘアリーベッチ、ハゼリソウなど、現地試験の前の段階として、現地へ下ろす前の試験場内での検討という形で、現在試験中なものもございます。それについては、次年度に向けて、現地主体でどのように実証試験が行われるか、7月に入りましたら、対策協議会を開催する予定とお聞きしておりますので、その中で提案して、現地に下ろせるものは下ろしていくとお聞きしてございます。 ◆中川博司 委員 私はもともと有機農業の推進という観点で、化学肥料や農薬をできるだけ使わないという観点で入っていきましたが、風食被害でまさか緑肥による窒素の固定化という話が出てくるとは思わなかったのと、最近の化学肥料の値上がりの中で、これは2月定例議会の中でも言いましたけれども、精力的に研究して地域の農家に広げてもらえればいいなと思っています。  その話でいきますと、有機農業の推進に向けてプラットフォームをつくって、この間、3回、4回と学習会をやって、その成果として、今年、下伊那郡の松川町がオーガニックビレッジに手を挙げたと。新聞を見ていたら、辰野町も来年いけそうだという話ですし、国では一応全国で、2030年まででしたか、200か所はオーガニックビレッジをつくりたい、10分の1の市町村で実施したいという話です。なので、長野県には77の市町村があるわけだから、七つや八つくらいの町村がこれに手を挙げてもらわないといけないのですが、今年の有機農業の推進プラットフォームの学習会だとか、有機農業の推進に向けた支援をいつ頃からどんなふうにやっていくかということと、オーガニックビレッジを全県的にどう名のりを上げてもらうのか、そこら辺について少しお話を聞かせてください。 ◎小林茂樹 農業技術課長 有機農業プラットフォームの活動につきましては、現在、会員が607名ほどいらっしゃいます。その中で、様々な勉強会、研修会等を開催させていただいておりますが、本年度につきましては、明日6月29日に佐久合庁で、テーマを「緑肥を活用した土づくり」という形をテーマに、第1回目を開催させていただきたいと考えてございます。今年は合計で4回ほど3月までに開催したいと考えておりまして、地球温暖化、新規就農者の定着、流通と販売等のテーマを予定して進めてまいりたいと考えてございます。それから、先進的活動への支援でございますが、昨年度まで総額90万という予算でやっておりまして、1か所当たり5万円ほど、少額ではございますが補助を出してございました。それを今年は120万に増やしまして、特に学校給食へ有機農産物を提供するところについては3万円プラスという形で、8万円の補助にさせていただきたいと考えてございます。もう一つ、オーガニックビレッジの関係でございますが、現在、委員おっしゃられたとおり、松川町と辰野町の農業振興センターの2か所が本年度事業で実施する予定でございます。これについても、委員御指摘のとおり、拡大を図っていく必要があろうかと思いますので、このプラットフォームで優良事例を多くの方に見て、勉強していただいた上で、学校給食等を核にして拡大を図っていきたいと考えてございます。 ◆中川博司 委員 松川町は、本当に全国の中でも優良事例だと思うのです。農業委員会と農協と県の支援センターと村の農業振興の担当と、遊休農地をどうしようかとみんなで話しをして、その中で遊休農地をなくす取組として、有機の畑をやってみようという結論になりました。では何を作るかと相談したときに出てきたのが学校給食で、学校給食で何を使っているかと聞いたら、ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、ネギ、お米だと。それなら、それをやろうという話になりました。やり方自体がウィン・ウィンですよね。ぜひ全県にも広げていただきたいなと思います。  関連してもう一つだけ、ゲノム編集の農作物が今後入ってくると思われます。この是非について今日は問いませんが、他の農作物との交雑が心配なのです。県の種子条例の施行に合わせて、県は遺伝子組換え農作物をつくるときのガイドラインを作りました。これは他の農作物との交雑をしないようにということで、かなり厳格に作っていただかないと駄目だと、こういう意味で作ったわけです。ゲノム編集の作物を作るということは、まだまだ先かもしれません。しかし、有機農業の研究会などからは、それほどいいものだったら、他のものと交雑してはいけないでしょうと。だったら、これは厳格な、遺伝子組換えと同じような扱いとして、ガイドラインに沿った栽培形態にしたほうがいいのではないですかと、こういう意見が出ております。私もそうすべきだと思いますが、いかがですか。 ◎小林茂樹 農業技術課長 ゲノム編集は、農作物の遺伝子の一部を狙って切断することであると、委員も御承知だと思いますが、それをもって変異を起こす技術という中で、現在実用化された手法によって開発された農作物については、自然界で発生する突然変異と科学的に判別できないものに整理をされております。そういったことで、ゲノム編集について、国では、遺伝子組換え生物には該当しないと整理をしているわけでございます。これは委員御承知のとおりだと思いますが、県では、現在コーデックス委員会等も含めて、各種検討をしております。国等の動向も注視する中で、状況の変化が生じた場合は、必要に応じてガイドラインの見直しも含めて検討してまいりたいと考えてございます。 ◆中川博司 委員 わざと是非は問わないと言った意味は、遺伝子組換えではなくて、ゲノム編集であったとしても、マーカー遺伝子というのがありまして、抗生物質耐性遺伝子を組み込むだとか、難しい部分がいろいろとあるわけですよ。だから、まだまだ不確実な部分がたくさんあるので、今日の時点では是非は言わないけれども、遺伝子組換え農作物と同様のガイドラインで作るということ、他と交雑しないということが大事だと思うので、その点、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。  アニマルウエルフェアとワンヘルスの取組の強化についてお伺いします。アニマルウエルフェア、動物福祉という考え方ですけれども、これがSDGs、持続可能な社会にとって、極めて大事な取組ではないかと国際連合の中でも議論がされています。県として、この点についてどのように考えているのか、それから、県内のアニマルウエルフェアの取組状況についてお伺いします。 ◎青沼健治 家畜防疫対策室長 アニマルウエルフェアについての御質問ということで、家畜の快適性に配慮した飼養管理でございますが、これにつきましては、結果として生産性の向上や畜産物の安全性の向上につながることから、農政部といたしましても重要な取組と認識しております。一方で、環境といった面につきましても、アニマルウエルフェアは幾つかの取組がございまして、中でも苦痛や疾病からの解放がございます。これにつきましては、例えば家畜排せつ物の適切な管理が地域周辺に与える影響というものを抑えますし、疾病の原因となりますネズミやハエの駆除徹底、これが生活環境に快適な状況をもたらすといったことが考えられます。そうした面では、このような取組が畜産の持続性につながっていくと考えております。そういった中での取組ですが、アニマルウエルフェアにつきましては、家畜のストレスを大幅に減らすことができるといった考えの下にありますので、取組のレベルは県内の農家でまちまちです。ただ、皆さんそれぞれに、例えば健康を保つために、餌場や水飲み場をチェックして清掃する、おがくずを床に敷いて快適性を保つ、また、ミストの噴霧や換気で畜舎を快適な温度にするなど、そういった取組を実践されてございます。特に防疫措置の観点から、畜産農家では飼養衛生管理基準に基づく飼育に取り組んでおりますが、こうした健康観察などを行うことによりまして、アニマルウエルフェアのベースをほぼ全ての農家が実践はしていると。ただ、当然レベルはまちまちだと思います。もう一方、県の独自の制度でアニマルウエルフェアの考え方を取り入れました信州あんしん農産物生産農場、信州プレミアム牛肉の基となる農場ですが、これが142農場、それから飼育密度に配慮した信州黄金シャモの飼育農場、これが12農場ございまして、こういった方々は、より一歩進んだ取組をしていると認識しております。 ◆中川博司 委員 最後の質問になりますが、関連して、なぜこれを聞いたかというと、新型コロナウイルスの対策として、自然環境と動物と人間界を一つのものとして考え、対策を講じていく、ワンヘルスという考え方があるからです。結局、新型コロナウイルスも、まだ全部正確には分かっていませんけれども、例えばコウモリから発生した、でも、コウモリから直接人間にうつるわけではない。変異をしながら渡り鳥にうつり、渡り鳥から家畜にうつり、変異しながらだんだんに人間にうつりやすく変異していくわけですよね。だから、家畜についてもアニマルウエルフェアの考え方が必要だし、全体として自然環境と人類が全体で環境をきちんとしていかないと、新興ウイルスに対応できないのです。福岡県では、ワンヘルスの条例がつくられて先進的に進んでいると聞いていますけれども、その意味で考えると、長野県においても同様に考え方、取組を進めていくことが必要だと思います。かつて獣医師会と協定を過去に結んだ経過があると聞いていますけれども、その経過と、今回の新型コロナウイルスにおいて獣医師会の皆さんと協議などが行われたのか。あわせて、今後農政部としてワンヘルスの取組をどう進めていくと考えているかお聞きします。 ◎青沼健治 家畜防疫対策室長 ワンヘルスの関係については、感染症に対する迅速な対応を取るために、県と獣医師会、連携してやっていかねばならないので、協定を結ばせていただいたところでございます。新型コロナへの対応ですが、既に、国において、新型コロナウイルスについては動物との人獣共通感染症といった認識ですし、今のところ産業動物にはかかってはいませんが、ミンクですとか、そういったものにはかかっていると、獣医師会とは情報共有をさせていただいております。具体的に何をしているというわけではございませんが、認識を持ちながら、もしもの場合については対応していきますし、その協定につきましても、新たな感染症が起こった場合については、その感染症について幾つか病名を挙げてありますが、追加等の対応をしていきたいと考えてございます。  それから、ワンヘルスへの取組ですが、まさしく人と産業動物、自然界と一体的にという話で、まさしく今、私どもがやっております豚熱などは、自然界と産業動物との間で起こっていることでございます。それらも踏まえますと、今後、ワンヘルスの考えに基づくことにつきまして、国のほうも大分動き始めておりますので、そういった動きもしっかり注視し、健康福祉部とも相談しながら研究を進めてまいりたいと考えております。 ○小山仁志 委員長 午後2時50分まで休憩を宣した。 ●休憩時刻 午後2時37分 ●再開時刻 午後2時50分 ○小山仁志 委員長 再開を宣し、委員の質疑等発言を許可した。 ◆毛利栄子 委員 どうもお疲れさまです。私からもお願いいたします。最初に、諏訪地域振興局では、原村でセロリを盛んに栽培して、日本でも有数の生産地にしておりますが、この間、比較的栽培しやすいということでブロッコリーにも力を入れていただいております。そういう中で、平成29年の9月に、日本では初めてアブラナ属の害虫であるテンサイシストセンチュウの被害が確認されまして大変なことになりまして、引き続きそんな状況がございます。それで、そもそもの感染経路や原因が、あまりマスコミでも公表されていなくて、どうして日本で初めて、しかも内陸部の山の上で発生したのだろうと思っているのですけれども、その辺の事情を教えていただければと思います。 ◎小林茂樹 農業技術課長 御承知のとおり、今おっしゃられたとおり、テンサイシストセンチュウ、諏訪地域にて、全国で初めて発生いたしました。その間、現在まで、国も県と協力する中で、原因究明等の調査を進めておるわけでございますが、これが原因だという特定には至っていないのが現状でございます。ただし、海外から今現在、様々な、例えば育苗に使う資材や土壌改良剤等が海外から入ってくる可能性は否定できない部分がございまして、そういったものに付着する中で入ってくる可能性は拭い切れないと考えてございます。ただ、原因は特定できてございません。 ◆毛利栄子 委員 なかなか不思議なところもあるのですが、日本全国見てみれば、同じようにそういう資材も使われてはいるのだろうなと思いますし、そういう害虫が繁殖する気候とかタイミングとか、何かあるのかなと思っています。国も防疫ということで一生懸命原因究明の研究をしていただいているようですが、原村の圃場で確認されたときは、117の圃場で35.8ヘクタールということで、結構広大な部分に広がっていたのですけれども、原村だけには収まってはおりませんよね。そういう意味で、どこまで広がっているのかということを伺います。 ◎小林茂樹 農業技術課長 現在、原村に隣接している富士見町では、今までに4か所、茅野市におきましても5か所ほど発生してございまして、初発があった原村でございますが、累計で159か所確認されておるところでございます。 ◆毛利栄子 委員 実情は分かりました。それはいずれにしても、ほかの、県下の同じようなアブラナ科の栽培のものには見当たらないということでしょうか。 ◎小林茂樹 農業技術課長 現在のところ、他地域での発生というものは確認されてございません。 ◆毛利栄子 委員 いずれにしても、圃場につきまして、消毒などをして、また活用しなければいけませんが、この間、対策として取られてきた中身などを教えていただければと思います。 ◎小林茂樹 農業技術課長 一つは、防除する薬剤を使いまして、緊急防除という形で取組をしてございます。JAの子会社に県から委託をしまして、緊急防除や土壌消毒等を実施してございます。それから、もう一つは、ブロッコリーを連作すると発生密度が高まりますので、アブラナ科以外のものを作付しております。ほかの作物を入れる中で発生密度を抑えていく形で、輪作試験等についても行ってございます。それから、発生圃場につきまして、防除協力金というお金を出す中で、アブラナ科の作物を作らないで、ほかの作物を作っていただくという取組をしていただいております。 ◆毛利栄子 委員 防除自身もなかなか作業が大変で、土壌を攪拌させて、そのままだと薬剤が飛散するのでマルチなどもかけながら消毒をして、対応されているようですけれども、その手間も大変ですし、少しずつ値上がりしている資材を使って対応すること自体も非常に大変だという声もいただいているのですが、今の協力金というのは、要するに転作作物に対してだけでしょうか。 ◎小林茂樹 農業技術課長 防除協力金につきましては、委員おっしゃったとおり、ほかの作物を作付していただいた場合のみ、出させていただいてございます。それで、もう一つ、先ほど落としましたけれども、蔓延防止をしていただくのに、今までJAの子会社だけでやっていただいたのを、今回、土壌消毒する機械を県で一括購入しましたので、農家のほうに借受け希望者を取りまして、実際に自分で防除できる方は、その機械を無償でお貸しして、自分で防除していただく形で支援をしてございます。 ◆毛利栄子 委員 県で何台も購入して対応しているのですか。あと、薬剤の関係はどんな様子になっておりますか。 ◎小林茂樹 農業技術課長 機械につきましては何種類もありますが、例えば高圧洗浄機といいまして、土をほかに移動させないために、トラクター等使った後に洗浄する機械を69台、土壌に薬剤を注入する機械ですが、全部で約60台以上入れておりますので、そのほかに追加で、足りないという方もあれば要望に応じて県で購入して貸出しをしている状況でございます。すみません、落としてしまいましたが、薬剤も県で一括購入してお渡ししている状況でございます。 ◆毛利栄子 委員 貸出しや、それからもちろん薬剤は、無償提供しているということですよね。有償はないと思いますが、どうですか。 ◎小林茂樹 農業技術課長 国のお金も使いながら県で負担してございますので、その部分について農家負担はございません。 ◆毛利栄子 委員 私も国のホームページ見させていただいたところ、平成29年から始まって、延長ということでやられているのですけれども、これは、なかなか駆除できないのですか。3回くらい延長になって、令和6年までと書いてあったのですけれども、どんなものですか。 ◎小林茂樹 農業技術課長 土壌中にいる線虫でございまして、なかなか防除がしにくいのと、地上から見て分かるわけではございませんので、そういった点で防除がしにくいところがございます。一度防除をしても何年かするとまた緊密度が上がってきて、発生してしまうものですから、本当でしたら今年の3月で緊急防除の期間は一旦終了しておりましたが、地元の要望もありましたし、県としても新規発生圃場や再発圃場ということで、国に要望を出させていただきまして、2年間延長していただいた経過がございます。 ◆毛利栄子 委員 いずれにしても、まだまだ幾つもの圃場が残っていますし、また新たなところも出ているので、防除していただきながら、輪作障害を避けるための手だてをするしかないのかなと思います。しかし、農業者の方にしてみますと、はっきり言って、今までやっていたこと以上に余計な手間暇がかかって、そのことで収益が上がるわけではないという負担感と、それから、マルチも買って敷くのも大変だし、敷いたものをこれまた処理しなければならず、処理費用もばかにはならないと非常に心配されております。そういうものについて、何らかの形で応援していく制度はないのでしょうか。 ◎小林茂樹 農業技術課長 その経費については、現在それぞれ農家の負担をお願いしてございます。日本に入った原因は分かりませんけれども、重要病害ですので、本来国の責任において全て経費は持つべきものではございますが、国では一定の効果のある輪作体系を現地で示してきたわけでございます。ただ、原村地域は、やはり限られた農地の中でブロッコリーを連作して収入を得ている農家が非常に多い状況でございます。そういったことですので、連作の中でいかに防除をしていくか、それで発生を抑えていくか、本年度から輪作と連作と両方組み合わせた形で現地実証をして、今後発生がこれ以上拡大しないように努めてまいりたいと思っております。 ◆毛利栄子 委員 なかなか厄介だなと思っておりますが、それぞれの部署で頑張っていただいていることは承知しておりますし、大変な中でも、また農家さんも諦めずに頑張っていただいていることは承知しております。特にこれからますます資材も上がっていくので、何らかの形で応援できるようなものが必要ではないでしょうか。もちろん、検疫であれば、おっしゃるように国がしっかりやればいいのにと思いますし、違う技術指導もしているそうですが、現地の方々にしてみれば、ブロッコリーを本当に頑張って作ってきていているのです。収穫したらすぐ冷やして黄色くならないうちに出さなければいけないので、氷は無料で農協さんから頂けるようですけれども、発泡スチロールが高くて、量が取れても、いろいろ大変なのだという話も聞きますので、そういう意味で、何らかの形で派生したことに対する応援は考えられないのでしょうか。輪作と連作だけなのかなと思いまして。 ◎小林茂樹 農業技術課長 農家の方の負担は非常に大きく、実際の作業に当たっても、非常に大変な労力と認識してございます。ですが、国のほうでなるべく予算を取っていただいて、緊急防除に係る経費については十分に予算を確保するように、6月13日に要望しておりますので、今いただいた御意見も踏まえて、附帯する経費も対象経費になるよう、また要望したいと考えてございます。 ◆毛利栄子 委員 諏訪の支援センターの皆さん方は、非常に現地に出ておられていて、皆さんの現状や御要望をしっかり受け止めておられますので、連絡を取り合いながら、意欲がそがれないように応援したいと思いますので、その部分はぜひよろしくお願いいたします。  続いて、本会議の中でも宮下副委員長のほうから質問ございました、諏訪湖のワカサギやテナガエビ等の問題ですけれども、本会議の御答弁の中では、いわゆる採卵の関係の研究をこれから諏訪支場でするのか、やり始めたのか、やっていかれることは分かりました。現状は、砥川に遡上してくる一角で研究をずっとやってきてはいるのですけれども、なかなか思うように採卵できず、出荷もできないことが続いていましたが、今は、研究といいますか、それをやることによって、またワカサギを諏訪湖に戻すということですよね。もちろん諏訪湖で育たないのなら、他のやり方もあるのかなと思うのですが、もう少し詳しくお聞かせいただければと思います。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 諏訪湖の漁獲量が大変少なくなっている中で、水産試験場の諏訪支場で漁獲量のメインはワカサギでございました。なので、まずワカサギの量を増やさなければいけないということで、今年度から新たな取組を始めたということでございます。新たな取組ですが、今、委員おっしゃっていただいたとおり、通常は諏訪湖から川に遡上してくるワカサギが自然採卵をして、その卵をまた諏訪湖に返していたというやり方だったのですが、ワカサギ自体の遡上が少なくなっている状況なので、今回新たな取組は、採卵しそうな大きな親魚を諏訪湖にいる間に捕獲して、卵を、いわゆる地上といいますか、諏訪支場で産ませます。そこで受精をさせて、受精できたものをまた諏訪湖に返す、放流するというやり方を新たな取組で考えております。そうすることで、自然に遡上して生まれる卵の数よりも、人工的に親魚を捕まえて確かな卵にして放流するほうが高い確率になるということで、試験しながら、徐々に諏訪湖自体にいるワカサギの量を増やしていくことができないかという試験を今年度から始めたところでございます。 ◆毛利栄子 委員 分かりました。信濃の国でも「諏訪の湖には魚多し」と言うのだけれども、なかなか魚も最近急激に少なくなっていますよね。漁協さんから頂いた資料を見ると、平成31年から、ここ三、四年ぐらいの間で、ワカサギは計算したら35分の1、エビは5分の1の漁獲量なので、激減どころか激激減という状況ですね。今、お話いただいたように、卵がなければ稚魚もできない、稚魚もできなければワカサギにならないということで、それを一方でやっていただきつつ、漁協さんが一生懸命言っているのは、魚が産卵するような湖内環境がないということです。それと、せっかくの育ってきたお魚が、カワウとかカワアイサにみんな食べられてしまうと。これは、今に始まったことではなくて、ずっとそういうことがあって、これも諏訪湖が禁猟区ということもあって、なかなか大変だったそうです。追い払いというのも、本当に船を出して、時々花火を上げたりしてというのを一定期間ずっと、1日中苦労してやっておられたのです。激減の原因の一つに、そのこともある上に、漁協さんが指摘しているような中身があるのではないかなと私も思うのですが、そういうものは具体的にどう把握し、考えておられるのでしょうか。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 委員指摘のとおり、鳥に食べられる量よりも、実はもっと減っています。今現在、はっきりとした原因はつかめておりません。宮下副委員長の一般質問もございましたけれども、ヨシとかではなくて、エゴという、湖の中に浮いている浮き草が昔は湖岸のところに幾つもあるような、そういう生態系がございました。そういった浮き草を中心に魚類もそこに生息していた。その時代は諏訪湖の漁獲量もまだまだ多かった時代です。そこに湖岸の工事や、生態系の変化がありました。その当時、諏訪湖は富栄養化で、いわゆるワカサギが食べる餌、プランクトンや虫類が大変多かったのですが、今現在はきれいになって大変少なくなり、富栄養化が若干弱まっていることもございます。そういった複合的な要因で、魚があるいはテナガエビが減っているということですが、これが原因である、とはまだつかめておりません。それから、実は平成28年にワカサギが大量死しております。この原因もあまりつかめておらず、湖の酸素が急激に減った影響ではないかと考察していますが、実はその後、北海道からワカサギの卵を持ってきて放流したのですけれども、それが定着していなかった。ワカサギというのは、サケと同じで遡上して卵を産むのですが、北海道の湖と諏訪湖の湖ではどうもなじみが悪かったということで、卵を自然に産むというサイクルが、どうも大量死のときから途切れてしまったのかなと推測されます。その時代から激減をしていて、更に環境的な要因、複合的な要因もあるという状況です。今後、これから諏訪湖研究センターが令和6年4月から開設されますので、また環境部とも連携しながら、諏訪湖の生態系の分析も進めていかなければならないと考えているところでございます。 ◆毛利栄子 委員 なかなか複雑なものが絡み合っていて、現状になっているということは、御説明いただいて分かりました。いろんな分野の研究成果や取組を合体させて、いろいろ検討される中で、先ほどおっしゃられた諏訪湖研究センターができるということなので、その取組にも期待したいところではあります。しかし、これまた二、三年かかることになるので、できるところからということで先ほどの採卵の話があろうかと思うのですけれども、知恵を出しながら、ぜひ対応していただきたいと思います。諏訪湖のワカサギは、漁協さんばかりでなく、本当に土産物含めて売りになっておりまして、観光とか、ワカサギ釣りもやっていただく時期もありますが、それもこの間、ずっとやれなくなっておりますので、ぜひ御努力いただければと思います。  次に、この間、何人もの方からも話題になりましたけれども、県内の食料自給率をどう高めるかというのは大きな課題かなと思われます。本当に、世界的な環境がいろいろ変わってきていて、これからはとにかく、日本が人口減少する一方で、世界的には人口がどんどん増えていく中で、ウクライナ問題等も発生することによって、全体的にとにかくいろいろ足りなくなってきております。この間、私どもの和田県議が本会議の中で、自給率は国では37%ということでお寂しいのですが、長野県はそういう中でもカロリーベースが53%であるということで、これをもっと高めつつ、地域内循環、地産地消を推進していく必要があるのではないかと思います。ただ、先ほど、学校給食も含めて、目標は掲げてはいないが、地産地消は進めていきます、学校給食に安全安心な食材の提供はやっていきたいと思いますとお話がありました。でも、ここまでやりたいので、こういうふうに頑張っていきたいという取組は必要ではないかと思われます。行き当たりばったりと言うと、少し申し訳ないのですが、そういうことでいいのかなという思いです。今までと環境がかなり変わってきているので、本気を出してと言ってはあれですが、本腰を入れて、自給について考えていかないと、大変なことになるのではないかなと思われますが、その点ではどうでしょうか。 ◎塩川ひろ恵 農業政策課長 先ほど小林委員にもお答えいたしましたが、生産も消費も地域内でしっかりやっていくという話です。先ほどは触れませんでしたが、目標値といたしましては、現在の農業振興計画の中で、一応学校給食における県産食材の利用割合という目標は持っておりまして、そのような部分はあることは御理解いただきたいと思います。県産食材を使った利用割合という部分では目標を持っております。今、審議会の委員の皆様からも、食料自給率とか食料安保というようなテーマでの御意見は頂戴しておりますので、委員おっしゃることも、目標を持ってやるべきだとおっしゃる意味も分かります。審議会の委員さんの皆さんの御意見をお聞きして、今はそういう目標持っていますけれども、それ以外にも何か新たな目標ができるのかどうかも含めて、検討させていただければと思っております。 ◆毛利栄子 委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。特にロシア、ウクライナから入ってくるものの大きなものの中に、小麦があるわけですよね。それがなかなか入ってこない中で、小麦の卸売価格は国が決めるということではありますが、例えば、先ほど来というか、話題になっています耕作放棄地や、水田からの転用を考えるときに、長野県はもう少し小麦を生産してもいいのではないかと思うのです。経年的に見ても、大体県内で7,000トンから9,000トンぐらいの間の生産量になっていると思いますが、この問題も、和田県議に取り上げていただいて、そのときは実需者、要するに卸の業者ですね。実需者との話合いの関係もありますが、その辺も、もっとたくさん作っていくことはできないんでしょうか。 ◎小林茂樹 農業技術課長 委員御指摘のとおり、長野県の小麦、約6,000から7,000トン近く生産されております。面積でいいますと、令和3年産で2,220ヘクタールという形で、米が3万400ヘクタールでございますので、主食用米に比べてかなり少ない形になります。主に小麦は、転作田で作付がされてございます。というのは、転作作物として需要があるということが一つございまして、小麦の価格は、非常に安いものですから、転作の助成金がないと経営として成り立たないというのが現状でございます。ですから、小麦を作って生計を立てていこうとすれば、国から転作の助成金以外に新たな支援措置がないと経営としては成り立たないと考えてございます。和田議員から一般質問でも御質問いただきまして、長野県とすれば、水田を活用した中で、麦や大豆等の増産は水田農業を経営する農家にとっても非常に重要であるとの位置づけで考えてございます。ただ、県産小麦は、98%程度が県内の実需者で利用されておるのが現状でございます。ですが、最近は軟質小麦、どちらかというとおやきとかうどんとか、そういったものに使う麦より、パンとか中華麺用に使います硬質小麦と言われるものが求められておりまして、品質、収量、それぞれがいいものが求められている中で、言い方は悪いのですが、単純に誰でも作って増産すればいいというわけにいかないところもございます。ですから、大型機械を持っておられる方々が転作の中でうまく位置づけをしつつ増産を図っていくことが重要だと考えてございます。  それから、こういったものは、実需者と事前に、ほぼ契約で取引等がされておりますので、作付前の段階、来年産を秋にまくのですが、この時期に事前にどのくらいの量が欲しいという量を示していただき、契約等の中で取決めをして作付しておりますので、県としましては、その意見交換の場に参画する中で、品種誘導等、そして高品質なものを作付できるように誘導を図ってまいりたいと考えてございます。 ◆毛利栄子 委員 頑張っていただいているようですので、ぜひ良質なものをもう少し広げられるように努力いただきたいと思います。例えばこの間も、あるレストランで、朝はモーニングということで、パンとコーヒーをセットで提供するのですけれども、これ以上小麦の価格が上がってくれば、そういうメニューも作れないかもしれないなんておっしゃっておりました。では、おにぎりでも出せば、お米の消費が増えるのではなどと冗談を言わせていただきましたが、本当になかなか、食したいものが食せないことがないとも限らないので、目をあちこち向けていただいて、食料自給率を高めつつ、食料危機にならないように頑張っていただければと思います。以上です。 ○小山仁志 委員長 ほかに御発言もありませんので、以上で質疑を終局いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、質疑を終局いたします。  ただいまから議案の採決に入ります。最初に、第1号「令和4年度長野県一般会計補正予算(第2号)案」中、第1条「第1表 歳入歳出予算補正」中の歳出 第7款 農林水産業費 第1項 農業費、第2項 畜産業費について、採決いたします。本案、原案のとおり可決すべきものと決するに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、本案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、第12号「県営農村地域防災減災事業大久保地区用水トンネル工事変更請負契約の締結について」、採決いたします。本件、原案のとおり可決すべきものと決するに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、本件は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、第13号「県営農村地域防災減災事業柳原地区用水トンネル工事変更請負契約の締結について」、採決いたします。本件、原案のとおり可決すべきものと決するに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、本件は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  ただいまから請願及び陳情の審査を行います。当委員会に付託されております農政部関係の請願、陳情を一括して議題といたします。過日、お手元に配付いたしました審査資料を御覧願います。農政部関係の請願・陳情は、請願新規分1件、陳情継続分3件、新規分1件であります。  なお、審査に際し、継続審査とする旨の御発言をされる場合は、なるべくその理由を一緒に述べていただくようお願いいたします。また、願意が複数ある請願及び陳情で、その一部が採択できないために継続審査と決定した場合は、付記事項として請願者及び陳情者に通知することについて、その都度お諮りすることといたしたいと思いますので、御了承願います。  新規の請願の審査を行います。請第31号についてであります。理事者の説明はいかがいたしましょうか。      〔「不要」と呼ぶ者あり〕  本件について質疑等ありますか。      〔「なし」と呼ぶ者あり〕  以上で質疑を終局いたします。  この請願の取扱いはいかがいたしましょうか。      〔「採択」と呼ぶ者あり〕  ただいま採択との御意見がありましたので、請第31号については採択すべきものと決するに御異議ありませんか。
         〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、さよう決定いたしました。  ただいま、採択すべきものとして決定した請第31号について、地方自治法第125条の規定により、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果の報告を求める取扱いについては、正副委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、さよう決定いたしました。  以上を持ちまして、請願の審査を終局いたします。  続いて、陳情の審査を行います。審査手順について、あらかじめお諮りいたします。最初に継続となっております3件の陳情を、続いて新規の陳情1件について、順次、審査をお願いしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、さよう決定いたしました。  まず、継続分の審査を行います。継続分の審査に当たっては、2月定例会以降状況に変化のないものについては一括して審査を行い、状況に変化のあるものについては取り出して審査を行うことにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、さよう決定いたしました。  それでは、継続審査となっております陳情3件について、状況に変化がありましたら、理事者から説明を願います。 ◎塩川ひろ恵 農業政策課長 状況に変化はございません。 ○小山仁志 委員長 それでは、特に状況に変化のない陳情3件を一括して審査いたします。お諮りいたします。陳第12号、陳第578号及び陳第609号については、引き続き継続審査とするに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、さよう決定いたしました。  続いて、新規分の陳情の審査を行います。陳第700号についてであります。理事者の説明はいかがいたしましょうか。       〔「不要」と呼ぶ者あり〕  本件について質疑等ありますか。       〔「なし」と呼ぶ者あり〕  以上で質疑を終局いたします。  この陳情の取扱いはいかがいたしましょうか。       〔「採択」と呼ぶ者あり〕  ただいま採択との御意見がありましたので、陳第700号については採択すべきものと決するに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、さよう決定いたしました。  以上で陳情の審査を終局いたします。  以上で農政部関係の審査を終局いたします。  本日の審査はこの程度とし、明29日は午前10時30分から委員会を開会し、林務部関係の審査を日程といたします。    散会を宣した。 ●散会時刻 午後3時32分 △採決結果一覧(農政部関係)  (付託議案)  ▲ 原案のとおり可決すべきものと決定したもの(簡易採決)     第1号 令和4年度長野県一般会計補正予算(第2号)案中      第1条「第1表 歳入歳出予算補正」中       歳出 第7款 農林水産業費           第1項 農業費           第2項 畜産業費     第12号 県営農村地域防災減災事業大久保地区用水トンネル工事変更請負契約の締結について     第13号 県営農村地域防災減災事業柳原地区用水トンネル工事変更請負契約の締結について  (請願)  ▲ 採択すべきものと決定したもの(簡易採決)     請第31号  (陳情)  ▲ 採択すべきものと決定したもの(簡易採決)     陳第700号  ▲ 継続審査としたもの(簡易採決)     陳第12号、陳第578号、陳第609号...